秋の運動会シーズンとなった。「今年こそ、かけっこで1番になりたい」と願う子供も多いだろう。速く走るには「正しい体の使い方」をする必要があり、練習すれば誰でも習得できるという。専門家に速く走るコツを聞いた。


◇キョロキョロしない

edc13100208010001-n1 9月中旬の夕方、東京都府中市の「府中市民陸上競技場」には30人以上の小学生が集まった。首都圏で陸上教室を運営する「ニューモード陸上クラブ」(東京都豊島区)の子供向け「かけっこ教室」の参加者だ。

 「運動会に向けてしっかり練習しましょう」と言う飛田奈緒美コーチの言葉とともに練習開始。子供たちはウオーミングアップの後、弾む感覚を身に付ける練習やスタートの構えの確認、スタートダッシュなどを繰り返していた。

 「正しい体の使い方ができれば必ず速く走れるようになる」という飛田さんに、スタートからゴールまでのポイントを解説してもらった。

 短距離走では最初に出遅れると体に力が入り、フォームが乱れる。このため、スタートが重要だ。

 肩幅よりやや広く足を広げ、利き足を前にして立つ。上半身を少し倒し、前足の膝を「つま先と膝頭がそろう程度」にまで曲げて体重をかける。後ろ足は膝を少し曲げ、かかとを上げる。視線は前足のつま先に置き、腕を軽く曲げ、手のひらは力を抜いて軽く開く。これが正しい構えだ。

 スタートの合図とともに後ろ足で地面を蹴って走り出す。体が早く起き過ぎないよう最初の5歩はつま先を見ながら走り、その後は顔を上げてゴールを目指す。「声援や他の子供を気にしてキョロキョロせず、前だけを見て集中して走ることが大事」

◇走り始めたら腕や足の動かし方も重要だ。

 腕はひじを自然に曲げ、進行方向を意識しながらなるべく速く振る。足は縄跳びを跳ぶときのように、弾む感覚で地面をとらえる。べた足にならないよう注意したい。そして、膝は高く上げるのではなく、「進行方向に向けて運ぶ」ことを心掛ける。

 カーブを走る際は、(1)つま先を曲がる方向に合わせる(2)内側の腕の振りはやや小さく、外側の腕の振りはやや大きく-するとバランスを崩しにくいという。例えば、左カーブの場合は右腕をやや大きく、左腕をやや小さく振る。


◇最後に気が緩むと

 短距離走ではゴールも重要だ。「勝った」と思って最後に気が緩むと、抜かれて悔しい思いをすることになる。そのため、飛田さんは「ゴールは全力で駆け抜ける」ようアドバイスする。100メートル走なら110メートルまで、50メートル走であれば60メートルまで走るよう意識する。

 速く走るためには、スタートの構えや走り方などの練習を何度も繰り返し、体に覚えさせることが不可欠だ。自宅でも縄跳びなどで弾む感覚を身に付けることで、走る際に上手に地面をとらえる動作を習得することが可能だ。

◇親も走る準備必要

 運動会では父母リレーなどに参加する親もいるだろう。

 「若い頃は走れた」と、いきなり全力疾走するのは危険だ。「体がびっくりして」(飛田さん)足がもつれて転んだり、アキレス腱(けん)を切ったりする恐れがある。忙しい中でも体をつくっておきたい。

 飛田さんは「運動会に向けてジョギングなどで体を慣らし、足の運び方に気をつけながら50メートルを何本か走ってみることがお勧め」と話す。運動会当日は走る前、走った後に入念にストレッチをすることも重要だ。