10月16日(ブルームバーグ):ワン・エクイティ・パートナーズでは五輪出場経験者が8人も働いている。彼らが獲った世界選手権や五輪の金メダルは8個より多い。自身もボート競技で五輪に出場したマネジングパートナーのディック・カシン氏は、大学で運動選手だった人材を採用しているし、他社にもそれを勧めていると言う。

 「スポーツは勝つことが全てと皆が考えている」と米チームメンバーとして1972年の五輪に出場したがメダル獲得に至らなかったカシン氏(60)は観察する。しかし、「私に言わせれば、負けることとそれを踏まえて勝ち方の学習をするのがスポーツだ。運動選手や元選手を採用することが合理的なのはこのためだ」と述べた。

 学業成績も良い優れた運動選手、特にそういう女性を新人として採用するのはウォール街の必須事項になっている。ニューヨークを本拠とするドラム・アソシエーツは2月に、現・元運動選手を専門的に紹介する人材あっせん部門「ディビジョンⅠ」を立ち上げた。同社によれば、そういうサービスは今までになかった。

 テニスでペンシルベニア州立大学の代表選手だったカーリー・ドラムオニール氏がこの部門を設立した。同氏は「企業は運動選手としての経験のある人材を大歓迎する」と述べた。「多様性が求められている今、強い女性は特に需要が高い」と付け加えた。

 金融サービス業界はかねてから運動選手を採用してきたが、彼らに求められるものは変わってきていると、ノースウェスタン大学ケロッグ経営大学院のキース・マーニガン教授は言う。同教授は電話インタビューで、「かつては、こういう従業員に求められる能力はサインをすることだけだった」が、金融機関は今では「運動選手なら誰でもというのではなく、頭の良い選手を採用している。自己を律することができ指示を受けることに慣れているが、自発的な行動もできる人材が求められている。さらに、彼らは痛みに対する耐久力が高い。ウォール街にとって魅力的なのではないか」と話した。